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ろけぷれ!

ドキュメンタリー映画「61ha 絆」

(c)2011年「61ha 絆」製作委員会
(c)2011年「61ha 絆」製作委員会
「61ha 絆」
http://www.impc.jp/61ha/


監督・脚本: 野澤和之
プロデューサー: 中村 孝
撮影: 堀田泰寛(J.S.C)
音楽: KAZZ
ラインプロデューサー: 細谷義久
演出協力: 平井将人
製作: インタナシヨナル映画株式会社
茶柱: 今回のろけぷれは、社会派の旗手、野澤和之監督の最新ドキュメンタリー映画「61ha 絆」を紹介します! 本作品は先頃「キュートムービーズ」でもご紹介しましたね。

ナカ: 野澤監督と言えばこれまで在日韓国人女性の半生を描いた「ハルコ」や、以前まいぷれでもご紹介したことのある「マリアのへそ」で知られる監督さんですよね。

茶柱: そうなんです!野澤監督は常に世の中の歪から生じる「貧困」や「差別」といった社会の周縁に暮らす人々を描いてきました。
神宮前にあるモーツアルト通り。
神宮前にあるモーツアルト通り。
その傍らにあるカーサ・モーツアルト前で再会を喜ぶヒゲオヤジたち(左)野澤監督、(右)茶柱
その傍らにあるカーサ・モーツアルト前で再会を喜ぶヒゲオヤジたち(左)野澤監督、(右)茶柱
ナカ: 時に鋭く、時に優しい視点で……。

茶柱: その通り! 辛い描写もありますが、随所に緩やかで優しい視点が織り込まれていますね。

ナカ: 野澤作品に生きる人々はその逆境の中にありながらも、たくましくきっちりと前を向いて歩いていく。

茶柱: そう、そこが野澤流。どっこい生きてる! そんな人々がいつも魅力です。そして大きなテーマが柱となっている。

ナカ: 今回、野澤監督が取り組んだテーマはハンセン病ですね。

茶柱: 数年前「マリアのへそ」でお会いしたときに監督は「次のテーマはハンセン病だ」と仰っていたから企画から完成までに実に五,六年の歳月を費やした意欲作ということになる。重いテーマではありますが、監督は決して拳を振り上げ、声高に何かを訴えようとするような作品にはしていません。

ナカ: 確かにそこが凄いですね。この映画をご覧になればそれはもう一目瞭然です。底辺に流れるマグマのような強いメッセージがあるにも関わらず、捉え方はあくまでソフトですね。

茶柱: 全く失策としか言いようのない国策により、社会から隔絶され、普通に生きること、そしてなにより人間の尊厳までをも奪われ、否定され、疎まれてきた患者さん……。いえ元患者さんたち。
夫婦だけの時間が優しく過ぎていく。東條高さん(左)康江さん(右)
夫婦だけの時間が優しく過ぎていく。東條高さん(左)康江さん(右)
ナカ: 今回野澤監督は、ハンセン病療養所で暮らす夫婦にスポットを当て、丹念にその生きる歓びを紡いでいきます。

茶柱: そこなんですよ。この作品の素晴らしいところは。この東條高さん、康江さん、夫婦のオシドリぶりがとにかく微笑ましい。

ナカ: どんなに辛く悲しい思いをしてきたかは計り知れず……。

茶柱: それにしても今回の作品。全編を通じて、「歌」と「音楽」がとても重要なモチーフとなっていることに新鮮な驚きがあります!

ナカ: 教会に流れる「賛美歌」。夫婦が挑むイベント「カラオケ大会」そして妻康江さんが詠む「短歌」。

茶柱: また作品を通じて流れる「KAZZ」さんのアコースティック。それらはすべてなにか「祈り」にも似た響きを感じさせます。悲しいとき、辛いとき。いやそれだけではない。嬉しいときも彼らには常に「歌や音楽の響き」があった。

ナカ: 紛れもなく「人生賛歌」ですね。

茶柱: 歌は東條夫婦にとって「生きてきた証」なのでしょう。
撮影はほとんどこの「大島青松園」で行われた。ここがふたりの住む61Haだ<br>
撮影はほとんどこの「大島青松園」で行われた。ここがふたりの住む61Haだ
このふたりに背負わなくてもいい重い十字架を背負わせてしまったのは……一体
このふたりに背負わなくてもいい重い十字架を背負わせてしまったのは……一体
何故かヒゲ3兄弟の絵ヅラに。<br>(左)日本映画界の重鎮!撮影監督の堀田泰寛さん<br>(中)茶柱ヒゲ蔵<br>(右)野澤監督
何故かヒゲ3兄弟の絵ヅラに。
(左)日本映画界の重鎮!撮影監督の堀田泰寛さん
(中)茶柱ヒゲ蔵
(右)野澤監督
ナカ: 音楽も素敵でしたけれど、撮影も素晴らしかったですね。

茶柱: おう、よく気づいてくれた! 撮影監督は名キャメラマンとして知られる堀田泰寛さんなのだ。堀田さんはこれまで「日本の悪霊」「ヒポクラテスたち」といった日本映画の歴史に名を刻む作品を手掛ける傍ら、数多くのドキュメンタリー製作でも活躍するまさに日本映画界の重鎮なのだ!

ナカ: 野澤監督の「HARUKO ハルコ」(2004年フジテレビジョン=ポレポレ東中野)でも撮影を担当されていたんですね。
茶柱: 今回、この上映会にも来ていたので、思わずパチリさせていただきました!
ナカ: ヒゲ、ヒゲ、ヒゲの面々……。壮絶なお三方の図ですね~~。

茶柱: パワー漲る個性的な面々といいなさい!

ナカ: は、はい。すいまえせん。本当に個性的です。

茶柱: とにかく野澤監督ってお人のパワーが凄いんじゃよ!

ナカ: というと? 

茶柱: とにかく、行動力の人! あくまでアクティブ、かつアグレッシブ! そして言動は俗に言う「歯に衣着せぬ」人なのだ。

ナカ: いまで言うと……(言わせてあげるよ)。

茶柱: そう!! ワイルドだろ~~~っ

俺の今回のドキュメンタリーはこれくらいだ!
俺の今回のドキュメンタリーはこれくらいだ!
茶柱: 例えばこうだ!「監督! この作品の製作費はいかほど?」とのこちらの問いに……。監督曰く「俺の今回のドキュメンタリーはこれくらいだ!」と、カーサ・モーツアルトに掲げられていた由緒ある名画を指さした! どうやらウン百万円するらしい……。

ナカ: なるほどワイルドですねえ~~。

茶柱: 当日、海外からのゲストもきていたので「さすが! 世界の野澤ですね!」と言ったら監督曰く「おお、この人たちはねたまたま昨日の夜、飲み屋であったイギリス人のツーリストでさ、明日上映会あるから、来る?ってきいたら興味あるっていったんで連れてきた」だもんなあ~。一期一会だなあ~~。
(手前)野澤監督。後方左が堀田カメラマンその隣のお二人がイギリスからのゲスト。上映後のテイーチインでイギリスでの上映会や、映画祭などへ参加方法などが話し合われた。
(手前)野澤監督。後方左が堀田カメラマンその隣のお二人がイギリスからのゲスト。上映後のテイーチインでイギリスでの上映会や、映画祭などへ参加方法などが話し合われた。
全世界で配布されている日本財団発行の冊子「Elimination Of Leprosy」(ハンセン病制圧と人権擁護)にも見開き2ページで特集された。やはり世界の野澤だ!
全世界で配布されている日本財団発行の冊子「Elimination Of Leprosy」(ハンセン病制圧と人権擁護)にも見開き2ページで特集された。やはり世界の野澤だ!
ナカ: 野澤監督、世界的にも注目されていますね! まさにワイルドですね~!

 茶柱: ワールドワイドならぬ、ワールドワイルドだ! まあこんなふうに野澤監督は今、この作品にかけています! みなさんもこの作品を観る機会があれば是非!ご覧になって下さい! そして何かを感じ取ってください! それなくしてこの映画は完結しないのです!

 ナカ: 茶柱先生! それはどういうことですか?
茶柱: 野澤さんはいつもいっています。自分は映画を作り、観客が映画を観る。しかしそれだけではいけないんだと。

ナカ: と、いうと?

茶柱: 観客が映画を観て、何かを感じ、何かをつかむ。そして製作者たちとの対話が始まる。そこから各々の思いや、意見が生まれ、少しずつ何かが変わり始めるのだと。この作品に限らず野澤映画には上映後の対話がある。そこが一番大切だと監督は言う。

ナカ: この作品はいわゆるシネコンなどでの上映ではないそうですね。

茶柱: そうなんです。昔でいえばインディペンデント系列の映画は予算の関係で一本のプリント(フィルム)を北海道から九州沖縄まで巡業興行を行っていたんだけどこの作品もそのようなコンバットツアー的な上映形態になるのだそうです。

ナカ: サロンや、公民館、市民ホール、学校などでの上映が主会場になるということですね。

茶柱: 是非、お近くで上映があれば観てください! 

ナカ: それではまた次回のろけぷれ!でお会いしましょう!

P.S. 
野澤監督にこのドキュメンタリーの製作にあたり、もっとも難しかった点はなんですか? と尋ねた。

 監督曰く「向き合い方ですね。カメラ越しに夫婦と対話を交わす、我々は付かず離れず。微妙な距離感をきっちりと保ちながら向かい合っていきました」

 野澤監督の目となるカメラはまるで空気のようにふたりの間に漂っていく、そこには衒いや奢りのない映像が映し出されていく……。

(もしこの人が、渦中の原発や、いじめ問題を撮ったらと思うだけで胸が熱くなった)

野澤監督の真摯な向き合い方が今回もまた優れたドキュメンタリーを産んだ。今後の更なる活躍に期待したい! いや、期待してるぞ!
                          BY  茶柱達蔵